内蔵脂肪が皮下脂肪よりもヤバイ理由

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管理栄養士のりーです。

今回は分かるようで分からない、内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満の違いについて紹介していきたいと思います。

内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満の違い

内臓脂肪型肥満とは

お腹周りに脂肪が過剰に蓄積しているタイプの肥満で、下半身よりもウェストまわりが大きくなります。
その体型から「リンゴ型肥満」とも呼ばれます。
男性に多く見られるのも特徴です。
またBMIが25未満で、肥満ではないものの内臓脂肪が蓄積している場合もあり、俗に「隠れ肥満症」と呼ばれることがあります。

皮下脂肪型肥満

主に皮下組織に脂肪が蓄積するタイプの肥満で、お尻や太ももなど下半身の肉づきが良くなります。
その体型から、「洋ナシ型肥満」とも呼ばれます。
女性に比較的多くみられます。
ちなみに日本におけるメタボリックシンドロームの診断基準で女性のウエスト周囲径の基準値が男性より大きい値となっています。これも女性の方が皮下脂肪のつきやすい傾向があるためです。
内臓脂肪型肥満がリンゴ型と言われるのに対し、皮下脂肪型肥満は洋ナシ型と言われ女性に多いです。

内臓脂肪と皮下脂肪の実際

ただこれはあくまでも一般論で実際には内臓脂肪が多い女性や皮下脂肪が多い男性もいます。
お腹周りの脂肪が内臓脂肪か皮下脂肪かを外見から見分ける方法は、皮膚をつまんでみることです。
皮膚しかつまめなかったら内臓脂肪が多い傾向、脂肪もつまむことが出来たら皮下脂肪が多い傾向となります。
この方法はあくまでも簡易的な方法なので、厳密にはCTやMRIで撮影をしなければその比率は分かりません。
しかし、体重測定のように気軽にできるものでもありませんので、皮膚をつまんだり、メジャーで腹囲を測定するのが一般的です。
それでは内臓脂肪の働きについて詳しく見ていきましょう。

内臓脂肪の働き

まずは大枠から見ていきましょう。

アディポサイトカイン

メタボの原因である内臓脂肪が蓄積すると、脂肪細胞が肥大・増殖し、アディポサイトカインの分泌異常が起こります。
アディポサイトカインって何だ?と思った人は、ホルモンのようなものと思ってください。
ホルモンもよく分からないなーという人は、『なんだか分からないけど、命令を出す物質』と思ってください。

このアディポサイトカインが動脈硬化を促進し、糖尿病・高血圧・脂質異常症を発症させ、悪化させる原因です。
内臓脂肪がたまるとアディポサイトカインという物質の分泌異常をおこします。
アディポサイトカインは本来、脂肪細胞から分泌され、脂質代謝や糖代謝を円滑にする働きの生理活性物質をいいます。
つまり普段はヒーローです!
アディポサイトカインには、レプチン・アディポネクチン・TNFα・PAI-1・アンジオテンシノーゲンなどがあります。
戦隊ヒーローに例えるなら、アディポサイトカインがゴレンジャーというグループ名で、レプチンがアカレンジャー、アディポネクチンがアオレンジャーのようなイメージです。
普段はヒーローのレンジャー達も内臓脂肪のせいで、悪者に変化してきます。
それではそれぞれのレンジャーたちの特徴を見ていきましょう。

レプチン

食欲を抑える働きをしていて、たくわえている脂肪が増加すると分泌が高まって食欲を低下させ、肥満を防いでいます。
しかし脂肪がたまりすぎると、レプチンの分泌が過剰になっても満腹中枢が適切に反応しない状態となります。
これをレプチン抵抗性といいます。そのためにさらに食べ過ぎ、太りすぎになっていくのです。
 

アディポネクチン

傷ついた血管壁を修復する働きをしていて動脈硬化を予防するほか、インスリンの働きを高める作用、血圧を低下させる作用などがあります。
内臓脂肪が増えると、アディポネクチンの分泌が減少し、動脈硬化を防ぐ働きが低下しますし、インスリン抵抗性の状態を引きおこし、血糖を上昇させます。
 

TNFα(ティエヌエフアルファ)

インスリンの働きを妨げる作用があります。
内臓脂肪が増えると分泌が高まり、インスリン抵抗性をもたらし、糖尿病を引き起こしたり悪化させる一因になります。
 

PAI-1(パイワン)

内臓脂肪の増加とともに分泌が高まり、血栓ができるとそれを融解させるプラスミンの働きを妨げ、血栓を大きくし、血流をさえぎる状態をつくります。
メタボリックシンドロームでは、脂質異常症・高血圧・糖尿病があって動脈硬化が進行しますので、そこに血栓のできやすい状態が加われば、心筋梗塞や脳梗塞の危険が高まります。
 

アンジオテンシノーゲン

血圧を上昇させる作用のアンジオテンシンの分泌を高めます。内臓脂肪がたまると分泌が増加して、血圧を上昇させ、高血圧を招く一因となります。

内臓脂肪が多くなるとヤバイ理由

上記の内容をまとめると、内臓脂肪があるだけで『食べ過ぎるし、血管は硬くなるし、血糖値は下がりにくいし、血管は詰まりやすくなる。』と言った感じです。
ご存じの方も多いかもしれませんが、血管に負荷をかけすぎると破れたりして場所が脳なら脳の病気、心臓なら心臓の病気に繋がるという訳です。
これらの生活習慣病が怖いところは、血管がボロボロになる過程では痛みを伴わないというところでしょう。
気が付いた時には手遅れだったということになります。
『ぽっくり死ねたら良いね。』とも言われますが、実際はそうもいかずに介護が必要な状態になってしまうということです。

最後に

私が携わっている特定保健指導では、内臓脂肪型肥満の方を対象に病気の予防のためのサポートを行っています。
ただ、このような事実があるということを知っている方は誰一人いらっしゃいませんでした。
いや、そりゃ普通に生きてたらこんなこと知らないですよね(笑)
『ちょっとお腹出てきたなー。メタボかー。ハハハ!』
なんて言ってたら数年後、数十年後には
若かったあの頃に戻りたい!
病院通いの日々で時間がない。
お金も病院代に飛んでいく。
身体が動かない。
家族や大切な人に迷惑をかけている。
病院で勤めていた時に、患者さんからこのようなお言葉を耳にしました。
私が現在病気の予防の仕事をするきっかけになったのも、このような経験があったから。
このブログを立ち上げたのも、後悔される方が一人でも減ってくれることを願っているから。
どうか、この記事が誰かのお役に立ちますように。

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