管理栄養士のりーです。
特定保健指導をしていると、健康づくりが思うようにいかない方にも出会います。
そんなときに、少しがっかりした気持ちになりますが、私たちはそうも言っていられません。
せっかく目の前に軌道修正の機会があるのですから、すぐにでも生活習慣の改善につなげたいところです。
今回はそんなときに気を付けたいことについて紹介します。
悪化した人の気持ち
まずは望ましい生活習慣を送れなかった人や体重血液検査などの数値が悪化してしまった人の気持ちになってみましょう。
ここで意識したいのは、私たち指導者と健康づくりをされている方の立場に違いにあるということです。
私たちは彼らのことをお客様だと思うことがほとんどだと思いますが、彼らは彼らで私たちのことを先生だと思っています。
(思っていないかもしれませんが笑)
確かに嫌なことを言われて煙たがられる存在でもありますが、自分よりもこの分野について知識があり何か助言をしてくれる人には間違いがありません。
そんな人に自分が失敗したり、上手く成績を出せなかったことを報告するということ自体がまずハードルが高いほどではないのでしょうか。
例えて言うならば、
『上司に期日までに仕事を仕上げられなかった』
『営業成績が目標を達成できなかった』
などの状況を報告する場面と似ているのかもしれません。
まずは現状を正確に報告できたことについて感謝しても良いのかもしれませんね。
一例)目標体重75㎏
今回は体重80キロの人が目標体重の75 kg に到達しなかったことを例に考えてみたいと思います。
最終評価の時点で A さんの体重は76 kg 以上あったとしましょう。
その場合指導者はどのような声かけをすれば良いでしょうか。
もちろんその方とのこれまでのやり取りや、指導者と対象者の性格、年齢、性別などさまざまな要因が絡み合ってくるとは思います。
ただ私の場合、目標を達成できなかった人については以下のように声をかけると思います。
76 kg ~79 kg
スタートの時よりも体重は減っています。
まずはそこを称賛します。
目標には届かなかったことについては残念だということを伝えて、さらにステップアップを促します。
具体的な次の目標について、本来はご本人に決めていただきたいですものです。
ただこの場合はもうサポート期間が終了時点ということになりますので、次の健康診断などとお伝えするようにしています。
あまり話がなくなってしまうと対象者の負担になってしまうので、それ以上はお話しないことが多いです。
ほとんどの場合、私の対象者の次の健康診断の日程を知らないですが、その一言があるかないかで明確な時期を提案できていると思っています。
79キロから81キロ
行動目標が達成できず、以前の生活から変わっていないケースがほとんどです。
まずは体重の推移が80㎏から見て誤差であるかどうかの確認を行います。
皆さんもご存知のとおり、体重が変化する要因は様々です。
内臓脂肪や筋肉の増減以外のケースも多々見られます。
1日の中で食事や水分をとった前後でも異なりますし、便秘の有無や極端に汗をかいた後なども含めると1日で1キロぐらいは変動するでしょう。
そのためその人がいつも同じ条件で測定をできているかどうかは分からないので振れ幅であるかどうかを確認してみます。
それを踏まえた上でベースの体重が80㎏前後ということであれば、体重を維持できたことを称賛します。
人間は加齢とともに内臓脂肪が増加します。その加齢に抗えただけでも本人の努力が認められると判断するわけです。
実際はもう少し成果を出して欲しいという気持ちもありますが、対象者のモチベーションを下げないためにもまずは称賛します。
ただし、ここで当初決めた目標が習慣化できたかどうかを確認します。
出来ている場合はそれ以外の習慣が変わった可能性があるのでそこを潰していきましょう。
出来ていない場合は言い訳を確認しておくと良いですね。
それによって今後の方針を決めることができるでしょう。
これらを踏まえた上で目標体重について再度確認してみます。
そこでのパターンは大きく分けて2つです。
1今の体重で良いと思っている人
2今後体重を減らしたい人
1の場合、体重(内臓脂肪)の量が変わらなければ血液の状態も変わらないことをお伝えします。
それでも習慣を変えたくないという方は、そのような価値観をお持ちということでそれ以上深追いはしません。
その方が掲げられた行動目標などについて、以前より悪化しないことなどをお話します。
例えば飲酒量などであれば、初回面談時よりも増えないことなどですね。
しかし、この事実を伝えた上でやはり生活習慣の改善が必要だと思えたことに対しては2の方ように具体的な行動目標を決めて行きます。
一度諦めそうになったでもそこで拾い上げることができるかもしれません。
2の方については具体的な行動目標を再度提案します。
ここで習慣を変えられる人は良いのですが、変えられないという人には体重が変わらないということをお伝えします。
そしたら少しがっかりされると思いますが、これが現実です。
もちろん何も変えなくても体重が減っていく人もいます。
よく聞くのは夏に体重が減って冬に体重が増える人です。
ただこれだと年間を通しての平均値は変わらず、毎年同じことの繰り返しになるでしょう。
このようなサイクルが無い先ほど体重の変化は見られないでしょう。
ここから1のパターンで提案します。
最終的にどのような結論になるかは対象者の価値観次第ということになります。
これはAmazonプライム会員などの解約手続きを進めていく途中で、『本当に解約しますか?』というプレッシャーと似ているかもしれませんね。
81 kg 以上
残念そうにその事実を受け入れて、先ほどお伝えした通り現状報告してくださったことについて感謝します。
それを踏まえた上でなぜそのようになったのか心当たりがあるか聞いてみるようにしています。
理由が分かっており、答えることができる方が多いですね。
一時的なイベントで体重が増えてしまった場合に対しては早めに戻しておきたいということをお伝えします。
習慣が変わってしまったような方には、その習慣を元に戻すようにできるかどうかを確認します。
原因がわからなかった人については、上記2点を確認します。
よくあるパターンは仕事で動く量が減ったというケースです。
コロナウイルスの関係でテレワークを実施される企業が多くなり、活動量が減ったというところです。
もしくは現場の仕事だったのが事務の仕事に変わり、デスクワークが増えたというケースもあります。
それ以外にも何らかの変化で食習慣が変わる人もいるでしょう。
ここは家族構成や趣味、健康づくりへの考え方など、過去の履歴から推測していく力が問われますね。
ここではしっかりと言い訳を聞きましょう。
言い訳を聞くことは、対象者指導者それぞれにとって良いことです。
対象者は、数値だけを見て指摘されるのではなく、理由を踏まえた上で自分と向き合っていると好感を持ってくれるでしょう。
頭ごなしに指摘されるよりかは少し心の余裕につながるのかもしれません。
先ほどの上司に成績を報告する例で考えてみても、『何かあったの』『どうしたの?』と聞いてくれた方が親切な上司だと思いませんか。
場合によってはそのように思わない方もいるかと思いますが、多くの方が指導者に親近感を感じると思います。
指導者のメリットとしては対象者の体重が増えてしまった要因を確認することが出来ます。
これにより次の計画が立てやすいですね。
ここから先は
体重が変わらなかった方と同じような流れで進めていくと良いでしょう。
まとめ
いかがでしょうか。
今回は対象者の方が言い訳を聞くことのメリットについて紹介しました。言い訳と聞くと少しマイナスなイメージもあるかもしれませんが、理由を確認することは非常にメリットの多いことです。
対象者の方と良好な関係を築きながら、お互いにとって望ましいサポートを進めていけると良いですね。
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